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小説/神霊スペシメン 第2話

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クローンといえども特別な力はない。
見た目は普通の人間だ。20歳の男。身体能力も20歳の成人男性の平均通り。思考力も平均的だろう。いや平均よりは少し知能が高いかもしれない。
そう思いたい。

クローンと言われない限りは、どちらかといえば平凡な男である。少しくらい何かで優位に立ちたい。
でないと割に合わない。クローンというだけで色々な弊害もあるし、うんざりするくらいこき使われている。

普通の人と違う点があるとしたら、我々民間向けクローン達はいくらでも代えがいるということだ。人権もクソもない。
そもそも人として扱われないような国際的な条約が成立してしまっているからだ。
人々の都合で生産され、消費し続ける家畜と変わらない。使えなくなったら交換されるだけ。
そして、そんなことを嘆き悲しむこともできない。我々クローン達は、悲しみや苦しみを感じる感情を人為的に抑制されているからだ。

他にも痛みを感じることや、人間に危害を加えることができないように、脳や遺伝子を操作されている。
だから、平凡な能力というよりはそれ以下かもしれない。色々な感覚を人の手によって麻痺させられている。
見た目や身体能力は平均的かもしれないが、自由というものだけ奪われているようだ。

その影響か知らないが、私が見る景色はいつもくすんでいて薄暗い気がする。この世界のあらゆる景色は、濁ったガラスの外から眺めているようだ。
空の色が鮮やかだと思ったことはないし、清々しい風を感じたこともない。

心の中はいつも乾いた灰が舞っている。

つづく

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